よくお聞きするのは、「時給を上げたものの一瞬の効果しかなく、結果として人件費を圧迫しただけで終わった」というお話です。

しかし、同じくらいよくお聞きするのは、「時給をほとんど上げていないものの、スタッフが積極的にお店に参加してくれる」というお話です。

後者ですが、実は労務基盤・人材基盤がきっちり固まっているお店のお話でした。
スタッフの笑顔やキビキビした動きの背景には、先輩スタッフと後輩スタッフの序列がしっかりしていることや、経営者の方が何よりもスタッフのご家族の理解を得ることに配慮しているため、スタッフが安心して仕事に専念できる環境ができているといった要因があったのです。

そして、驚くことに時給の上り幅は何と５円刻み！
そうであるにもかかわらず、時給が５円上がったスタッフが感激の涙を流してくれることもあるそうです。

最近、長時間労働や未払い残業代、不法・違法解雇といった労働トラブルが増えており、特に飲食業界は厳しい局面に立たされています。

インターネット上にはこの種の情報があふれ返っていますし、働いている本人だけでなく、ご家族の権利意識も高まっていることから、今後益々労働トラブルは増加の一途をたどるものと推測されます。

万が一、このような労働トラブルに巻き込まれでもしたら、経営者の方は多大な時間、労力と大切なお金を失うことになります。
トラブルに巻き込まれないようにするためには、法律の基準に沿った労務管理を行っていくしか方法がありません。

労務基盤をきっちり固めることにより、お店をしっかり守るようにすることが重要です。

とはいえ、労務基盤を固めることを目的そのものにしてしまうのはナンセンスです。
やはり、売り上げや利益の増加につなげるためのひとつの戦術として労務基盤固めがあるという位置づけをお忘れになってはいけません。

さて、複数のスタッフに支えられて初めて営業が成り立つ飲食店の場合、次のサイクルによって売上や利益が成り立っているということを経営者の方はご認識いただく必要があります。